【漫画でIT入門】とあるIT企業の社員活動日誌 第30話「プログラミング学習のすゝめ⑯ ソートアルゴリズムについて」

パソコンを使う人のありそうでなさそうなお話や、ガジェットのお話を漫画で紹介させていただくコーナーです。

とあるIT企業に務める彼女たちは日々楽しく真面目に業務に励んでいます。その中で、起こったハプニングや困った事などを活動日誌を通して覗き見していきましょう。

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ソート(整列)アルゴリズムとは??

ソート(整列)アルゴリズムは、データの要素を特定の基準に従って順序づける方法です。

以下に代表的なソートアルゴリズムのいくつかを説明します。

①バブルソート(Bubble Sort)

隣接する要素を比較し、必要に応じて交換を繰り返すことでデータをソートします。

最大値が右端に移動することを繰り返すため、バブルソートと呼ばれます。

しかし、効率的なソートアルゴリズムではないため、大規模なデータセットでは使用されません。

②挿入ソート(Insertion Sort)

データをソート済みの部分と未ソートの部分に分け、未ソートの部分から要素を適切な位置に挿入していきます。

挿入ソートは、データセットが小さい場合やほぼソートされたデータに対して効率的です。

③選択ソート(Selection Sort)

データセットから最小値を見つけて先頭と交換し、未ソートの部分の中から最小値を選び出していきます。

選択ソートもバブルソートと同様に効率的ではありませんが、簡単な実装であるため、小さなデータセットに対しては使用されます。

④マージソート(Merge Sort)

データセットを分割して再帰的にソートし、最終的にソート済みの部分をマージ(結合)していくアルゴリズムです。

高速で安定したソートが可能ですが、ソート対象のデータを一時的に格納するための追加のメモリ領域が必要です。

⑤クイックソート(Quick Sort)

ピボット(基準値)を選び、ピボットより小さい要素と大きい要素にデータセットを分割します。

そして、分割された部分に対して再帰的に同じ手順を繰り返していきます。

一般的には高速なソートアルゴリズムであり、効率的な実装が可能です。

それぞれのアルゴリズムの解説

上記にてソート(整列)アルゴリズムの代表的な例を5つ紹介しました。

それでは、これからこれら5つのアルゴリズムについて詳しく見ていきましょう!!

バブルソートについて

バブルソート(Bubble Sort)は、隣接する要素を比較し、必要に応じて交換を繰り返すことでデータをソートするアルゴリズムです。

要素の比較と交換を繰り返すことで、大きい値が配列の右側に「浮かび上がる」(バブルのように上がる)ことからその名前がついています。

以下に、バブルソートの具体的な手順を示します。

1. ソートするデータの要素数をnとします。
2. データを先頭から順に隣接する2つの要素を比較します。
3. 順序が逆であれば、2つの要素を交換します。
4. 配列の最後の要素まで2から3の手順を繰り返します。
5. 1回のパスが終了すると、配列の最後の要素はソート済みとなります。
6. nが1以上の間、2から5の手順を繰り返します。

これにより、バブルソートはデータを比較しながら必要に応じて交換し、最大値が右端に移動していく過程でデータをソートします。

最大値が1回のパスで右端に移動するたびに、次のパスではその右側の要素をソートする対象とします。

ただし、この手法では効率的なソートが行えないため、大規模なデータセットに対しては使用することが推奨されません。

・バブルソートのメリットとデメリット

メリット
1. 実装が比較的簡単で理解しやすいアルゴリズムです。初学者や教育目的で使用されることがあります。
2. 追加のメモリ領域を必要とせず、入力配列内での要素の交換によってソートを行います。

デメリット
1. 時間効率が悪く、データセットのサイズに応じて処理時間が増加します。最悪の場合の時間計算量はO(n2)です。
2. 完全にソートされたデータセットに対しても、隣接する要素の比較が行われるため、無駄な処理が発生します。
3. 安定ソートではありますが、逆順の要素に対しては隣接する要素の交換が必要となるため、パフォーマンスが低下します。

したがって、バブルソートは小規模なデータセットや教育目的で使用される場合に適していますが、大規模なデータセットに対しては効率が低く、他のソートアルゴリズム(例: クイックソートやマージソート)が推奨されます。

②挿入ソートについて

挿入ソート(Insertion Sort)は、データをソート済みの部分と未ソートの部分に分け、未ソートの部分から要素を適切な位置に挿入していくアルゴリズムです。

以下に具体的な手順を示します。

1. ソートするデータの要素数をnとします。
2. 最初の要素をソート済みの部分とします。
3. 次の要素から未ソートの部分とします。
4. 未ソートの部分の先頭の要素を取り出します。
5. ソート済みの部分の末尾から順に、取り出した要素を比較します。
6. 取り出した要素より大きい要素が見つかったら、その要素の後ろに取り出した要素を挿入します。
7. 5から6の手順を繰り返し、適切な位置に挿入します。
8. 未ソートの部分がなくなるまで2から7の手順を繰り返します。

挿入ソートは、データセットが小さい場合やほぼソートされたデータに対して効率的なアルゴリズムです。

ソート済みの部分が大きくなるほど挿入操作が高速になるため、部分的にソートされたデータに対しては効果的ですが、データセットが非常に大きい場合は効率的ではありません。

・挿入ソートのメリットとデメリット

メリット
1. 実装が比較的簡単で理解しやすいアルゴリズムです。初学者や教育目的で使用されることがあります。
2. データセットが部分的にソートされている場合、挿入ソートは効率的に動作します。
3. メモリ使用量が少なく、追加のメモリ領域を必要としません。

デメリット
1. 時間効率が悪く、データセットのサイズに応じて処理時間が増加します。最悪の場合の時間計算量はO(n2)です。
2. 配列内での要素のシフト操作が頻繁に発生します。このため、大規模なデータセットに対しては効率が低くなります。
3. 安定ソートではありますが、比較とシフト操作が頻繁に行われるため、逆順の要素に対してはパフォーマンスが低下します。

挿入ソートは、データセットが小規模でかつ部分的にソートされた状態である場合に効果的です。

特に、データセットがほぼソートされている場合や、新たな要素が順次追加される場合には高いパフォーマンスを発揮します。

しかし、データセットが大きくなると効率が低下し、他の高速なソートアルゴリズム(例: クイックソートやマージソート)の使用が推奨されます。

③選択ソートについて

選択ソート(Selection Sort)は、データの中から最小値や最大値を選び出し、それを適切な位置に置くことでデータをソートするアルゴリズムです。

以下に具体的な手順を示します。

1. ソートするデータの要素数をnとします。
2. 未ソートの部分の先頭を選択範囲とします。
3. 選択範囲内から最小値(または最大値)を見つけます。
4. 最小値(または最大値)を選択範囲の先頭要素と交換します。
5. 選択範囲を次の要素に移動します。
6. 未ソートの部分がなくなるまで2から5の手順を繰り返します。

選択ソートは、データセットのサイズが小さく、ソートされるべき部分が限られている場合には効果的なアルゴリズムです。

しかし、データセットが大きくなると効率が低下し、他の高速なソートアルゴリズム(例: クイックソートやマージソート)の使用が推奨されます。

また、選択ソートは比較回数が多いため、データセットがソート済みであっても同じくらいの比較が行われるという特徴があります。

・選択ソートのメリットとデメリット

メリット
1. 実装が比較的簡単で理解しやすいアルゴリズムです。初学者や教育目的で使用されることがあります。
2. 追加のメモリ領域を必要とせず、入力配列内での要素の交換によってソートを行います。
3. 安定ソートの一つであり、同じ値を持つ要素の相対的な順序を維持します。

デメリット
1. 時間効率が悪く、データセットのサイズに応じて処理時間が増加します。最悪の場合の時間計算量はO(n2)です。
2. 選択ソートでは比較回数が非常に多く、データセットが大きくなると効率が低下します。他の高速なソートアルゴリズム(例: クイックソートやマージソート)が存在する場合には、選択ソートよりも優れた選択肢となります。
3. ソート済みの部分と未ソートの部分が明確に区別されないため、データセットがほぼソートされている場合でも、最小値(または最大値)の探索と要素の交換が頻繁に行われます。

したがって、選択ソートは実装の容易さや安定ソートの特性などの利点がありますが、データセットが大きくなると効率が低下するため、大規模なデータセットに対しては他の高速なソートアルゴリズムを検討することが重要です。

④マージソート について

マージソート(Merge Sort)は、分割統治法を用いた安定なソートアルゴリズムです。

データを分割し、それぞれを個別にソートした後、マージ(結合)して最終的なソート結果を得ます。

以下に具体的な手順を示します。

1. ソートするデータの要素数をnとします。
2. データを2つのサブリストに分割します。分割はデータの中央を基準に行います。
3. サブリストを再帰的にソートします。再帰的なソートは、サブリストが1つの要素しか含まれていない場合に停止します。
4. ソートされたサブリストをマージ(結合)します。マージする際には、2つのサブリストの先頭要素を比較し、小さい(または大きい)要素を新しいリストに追加します。
5. どちらかのサブリストが空になるまで、4の手順を繰り返します。
6. 1つのサブリストが空になった場合、もう片方のサブリストの残りの要素を新しいリストに追加します。

マージソートの特徴は、データセットのサイズに関わらず安定な性能を発揮する点です。

また、データセットを分割してから再帰的にソートするため、データの移動や比較の回数が少なく、高速なソートアルゴリズムの一つです。

そのため、大規模なデータセットに対しても効率的に動作します。ただし、追加のメモリ領域が必要である点に留意する必要があります

・マージソートのメリットとデメリット

メリット
1. 安定なソートアルゴリズムであり、同じ値を持つ要素の相対的な順序を維持します。
2. データセットのサイズに関わらず一定の性能を発揮します。最悪の場合の時間計算量はO(n logn)です。
3. データの移動や比較の回数が少なく、高速なソートアルゴリズムの一つです。
4. 再帰的にソートを行うため、分割統治法の特性を活かして処理できます。

デメリット
1. 追加のメモリ領域が必要です。ソート対象のデータが大きい場合、メモリの使用量が増加することがあります。
2. ソート対象のデータを分割し、再帰的にソートするため、関数の呼び出しが頻繁に行われます。これにより、スタックのオーバーフローが発生する可能性があります。
3. データセットが非常に大きい場合、マージ操作によるデータの結合に時間がかかることがあります。

マージソートは安定性や一定の性能を持つことが利点です。

また、再帰的なソートの性質を活かしてデータを効率的に整列できます。

しかし、追加のメモリ領域が必要である点や大規模なデータセットでのマージ操作のコストに留意する必要があります。

一般的には、データセットが大きくなるときに効果を発揮するアルゴリズムですが、メモリの制約やスタックのオーバーフローに注意が必要です。

⑤クイックソート について

クイックソート(Quick Sort)は、分割統治法を用いた高速なソートアルゴリズムです。

データを基準値(ピボット)を用いて分割し、それぞれを個別にソートして最終的なソート結果を得ます。

以下に具体的な手順を示します。

1. ソートするデータの要素数をnとします。
2. ピボットを選択します。一般的にはデータの先頭要素、末尾要素、またはランダムに選ばれた要素が使われます。
3. ピボットより小さい値を持つ要素をピボットの左側に配置し、ピボットより大きい値を持つ要素をピボットの右側に配置します。この時、ピボット自体は正しい位置に置かれます。この操作をパーティション操作と呼びます。
4. ピボットを除いた左側の部分と右側の部分に対して、再帰的にステップ2からステップ3までの手順を繰り返します。各部分は独立してソートされます。
5. 再帰的なソートが終了した時点で、データはソートされます。

クイックソートの特徴は、高速なソートアルゴリズムであることと、データセットを効率的に分割してソートする能力です。

平均的な場合の時間計算量はO(n log n)ですが、最悪の場合にはO(n2)の時間計算量となることに留意する必要があります。

ただし、ランダムにピボットを選ぶか、ピボットの位置を適切に調整するなどの最適化手法を採用することで、最悪の場合でもO(n log n)の時間計算量を実現できます。

クイックソートはインプレース(in-place)ソートアルゴリズムであり、追加のメモリ領域を必要としません

また、再帰的なアプローチを採用しており、分割統治法を利用してデータを分割し、個別にソートします。

さらに、クイックソートは不安定なソートアルゴリズムであり、同じ値の要素の相対的な順序は保証されません

・クイックソートのメリットとデメリット

メリット
1. 高速なソートアルゴリズムであり、一般的に他の比較ベースのソートアルゴリズムよりも効率的です。
2. インプレース(in-place)ソートアルゴリズムであり、追加のメモリを必要とせず、元の配列内でソートが行われるため、メモリ使用量を節約できます。
3. 再帰的なアルゴリズムを使用し、データを分割して個別にソートすることで、部分問題を独立して処理し、最終的に結合して完全なソート結果を得ることができます。

デメリット
1. 最悪の場合の時間計算量がO(n2)となることがあります。これは、ピボットの選択が不適切な場合や、データがすでにソートされている場合に発生します。しかし、適切なピボットの選択方法や最適化技術を使用することで、一般的にはO(n log n)の時間計算量を実現できます。
2. 不安定なソートアルゴリズムであり、同じ値の要素の相対的な順序が保証されません。同じ値を持つ要素が順序を入れ替える可能性があります。

総合的に言えば、クイックソートは一般的な場合に高速かつ効率的なソートアルゴリズムであり、メモリ使用量も少ないです。

ただし、最悪の場合の時間計算量や安定性に留意する必要があります。

ソート(整列)アルゴリズムを学ぶメリット

ソートアルゴリズムを学ぶことには以下のようなメリットがあります。

メリット①「プログラミングスキルの向上」

ソートアルゴリズムは基本的なアルゴリズムの一つであり、それを学ぶことでプログラミングスキルを向上させることができます。

アルゴリズムの設計や効率的なコーディング方法を学ぶことで、より良いプログラムを開発することができます。

メリット②「問題解決能力の向上」

ソートアルゴリズムは、データを効率的に整列するための手法です。ソートアルゴリズムを学ぶことで、問題を分析し、最適なソリューションを見つける能力が向上します。

さまざまなアルゴリズムを比較検討することで、与えられた問題に最適なアプローチを選択する力が身につきます

メリット③「アルゴリズムの最適化」

ソートアルゴリズムを学ぶことで、アルゴリズムの効率性や最適化方法についての理解が深まります。

アルゴリズムの時間計算量や空間計算量、特定のデータセットにおけるパフォーマンスを評価し、最適なアルゴリズムを選択する能力が身につきます。

メリット④「コンピュータサイエンスの基礎理解」

ソートアルゴリズムはコンピュータサイエンスの基本的な概念です。

ソートアルゴリズムを学ぶことで、データ構造やアルゴリズムの基礎理解が深まります。

これは、他の高度なアルゴリズムやデータ処理技術を学ぶ際にも役立ちます。

以上のようなメリットがありますので、ソートアルゴリズムを学ぶことは、プログラミングやコンピュータサイエンスの学習において非常に有益です。

ソートアルゴリズムは基本的なアルゴリズムの一つであり、プログラムの効率性や最適化、問題解決能力の向上に直結します。

また、ソートアルゴリズムの学習を通じてアルゴリズムの設計や分析方法を習得し、より高度なアルゴリズムやデータ処理技術の理解につながります。

さらに、面接や技術的な評価においてもソートアルゴリズムに関する知識は求められることが多く、就職活動やキャリアの発展にも役立ちます。

したがって、ソートアルゴリズムを学ぶことは、プログラマーやデータサイエンティストとしてのスキルセットを強化し、幅広い分野での成功につながる重要な要素です。

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たんれ~

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主にインターネットの海で女の子を描くのが好きな人
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